2006年01月30日

移動ドと音階の話(1)

音楽の基本、音階の話
ドレミファソラシドという音階は皆さんご存知だと思います
音の高さは空気の振動の速さで決まります
ピアノやシンセサイザーなどで音を出す時
ラの音は1秒間に440回振動するので440Hz(ヘルツ)といいます
このときのドを固定ドといいます(要するに五線譜に書かれたままの音の読み方)
振動が速ければ速いほど音は高くなり
遅くなると音は低くなります(これは人の声も同じで、声帯を振るわせる速さで音の高さが決まります)

ところが唄は、その人の声の高さで歌います
三線弾きに判りやすく言うと
合の音をドと考えて、調弦(チンダミ)はそれぞれの高さ四=Cだったり、三=Bだったり
二=A#の高さのように自由に変えます
それども合は合、ドはドですね
これを移動ドといいます

三線は移動ドを用います

童謡「ちょうちょ ちょうちょ」を例にとって見ます
ちょ(ソ)う(ミ)ちょ(ミ)、ちょ(ファ)う(レ)ちょ(レ)
な(ド)の(レ)は(ミ)に(ファ)と(ソ)ま(ソ)れ(ソ)    ( )内は音階

ここで再び移動ドの考えを持ってきます
三線の中弦の開放音(四)をドと考えます
すると「ちょうちょ ちょうちょ」のソミミファレレ、ドレミファソソソは
「ちょ工(ソ) う中(ミ) ちょ中(ミ)、 ちょ尺(ファ) う上(レ) ちょ上(レ)
な四(ド) の上(レ) は中(ミ) に尺(ファ) と工(ソ) ま工(ソ) れ工(ソ)」
となります。
    ※ひらがなは歌詞、漢字は三線の楽譜工工四、( )内は西洋音階ドレミファソラシ

次に男弦の開放音(合)をドと考えます
すると同じちょうちょちょうちょでも
「ちょ上(ソ) う老(ミ) ちょ老(ミ)、 ちょ四(ファ) う乙(レ) ちょ乙(レ)
な合(ド) の乙(レ) は老(ミ) に四(ファ) と上(ソ) ま上(ソ) れ上(ソ)」
となります。

同じ曲でも中弦をド(根音といいます)と考えるか、男弦をド(根音)と考えるか自由に選択できます
その際、中弦=ドとするのと男弦=ドとするのではキーの高さが違うと言えます。
つまり中弦をドとしたほうが、男弦をドとした時より高い声で歌わなければなりません。
(つづく)


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Posted by コバ at 15:48 │教室
この記事へのコメント
こんにちは。
本とかに書いてあるより、すっごくわかりやすくって、やっと理解できました(>_<)
ありがとうございます!!
440Hzの意味もわかりました!!助かりました☆
Posted by Risa at 2006年01月31日 15:46
Risaさん
ありがとうございます

結構長いシリーズになると思います
続けてお楽しみください
Posted by コバ at 2006年01月31日 22:08
こんばんは。帯広教室の守屋玲です。
「移動ド」についてよ~くわかりました。
わかりやすい解説をしていただきありがとうございます。

前から気になっていたことがあるので、この機会に書き込みをさせていただきます。

私の場合、三線を弾き込んだな~とか、たっくさん練習したな~と思える状況ではありません。
そうなると「四=ド」と頭でわかっていても工工四を目で追って弾くことが多くなります。
『ちょうちょ』でいえば工中中、尺上上という風に覚えてしまいます。
弾き込むのはもちろん、自分の好きな歌を音階に直して弾く練習をすると、
いずれ「四=ド」と聞こえてくるのでしょうか。聞こえた方が曲も入りやすいだろうなぁと思います。
Posted by akira at 2006年01月31日 23:59
あきらさん
今回の話のシリーズは西洋音楽の教育を受けてきた
一般の人たちにわかりやすく
また、三線初心者の方にも判りやすい様な話として
西洋音階と三線の勘所の比較の話をしています

教室でも一番最初に工工四と勘所を覚える時
ドレミと工工四を比較して教えますが
工工四を覚えたら西洋音階から離れるように指導しています

純粋に琉球民謡を三線で弾く時に
西洋音楽が邪魔になる時が多くあるからです
これから展開される本調子の「尺」や
三下げ・二揚げの時の「七」のバリエーションで
それを説明する予定です

ですので今後三線を探求していく過程で
四=ドと聞かないで、四は四、工は工としたほうが
ずっとずっと便利でありまた、純三線的です

今回のシリーズは琉球三線と西洋音階の比較研究と思ってください
Posted by コバ at 2006年02月01日 12:52
>西洋音楽が邪魔になる時が多くあるからです
なるほど。納得です。

>四は四、工は工としたほうが純三線的です
安心しました~!ご丁寧にありあがとうございました。
Posted by あきら at 2006年02月03日 10:18