2008年09月09日

水瓶(みずがめ)

父の言葉
「雨水を水瓶に一滴一滴溜めていくと、時間はかかるけれど
ある段階で一杯になる
そうなると堰を切ったように水はあふれ出てくる
芸事とはそのようなもので
毎日毎日稽古を重ね、最初は成果が見られないかもしれないけれど
ある段階にきたら、今までの積み重ねがどっとあふれ出てくるときがある
たゆまぬ努力の積み重ねが芸事なのだ」
めったにそんなことを言わない父が
私が本格的に歌三線の道に入ろうとしたとき
この言葉を贈ってくれた。
今でも座右の銘のようにして稽古の励みにしている。
たしかに毎日の稽古では進歩が感じられることがないように思うかもしれないけれど
ある段階で今までの稽古の成果がフッと芽を出すことがある
それが快く稽古を続けているともいえる。

水瓶と言えば八重山のことわざに
「半(なか)ら瓶(かみ)ぬどぅ 鳴(な)る」
  いっぱい水の入った瓶は音がしないけれど
  半分しか入っていない瓶はよく音がする
  (よく知っている者は多くを語らず
  なまはんかに知っている者がよくしゃべる)

「半(なか)ら瓶(かみ)ぬどぅ ゆたふ」 
  水がいっぱい入っている瓶は揺らぐことがなく安定しているが
  半分しか入っていない瓶は不安定で揺れやすい
  すぐ感情の激しい、怒りっぽい人
    (ことわざ2つとも宮城信勇著 「八重山ことわざ辞典」から)

確かに知識や技術を知り始めた最初の頃は
熱く語ったり、人に見せびらかしたくなってしまう
  
八重山民謡で水瓶と言えば「仲筋ぬヌベーマ」
新城島へ水瓶と交換で人身御供になった美女の話
水瓶(みずがめ)
上の写真は竹富島を旅行した際に写したもの
「仲筋ぬヌベーマ」のヌベーマの生家の子孫が保存している
歌に謡われたヌベーマが人身御供になった際に交換した水瓶と言われているもの
先祖を大事にし
その瓶を大切に保管している子孫の方々の
誇りと自負がすばらしい
歴史がすぐ自分の近くにあり
それが脈々と継がれている風土に心から敬意を表したい


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